(1)特徴
・カバラン ソリスト バーボンカスク/Kavalan Solist Bourbon Cask
・カバラン蒸溜所
・57.8%
カバラン蒸溜所は、2006年に台湾の金車グループによって設立・蒸溜開始した新興のウイスキー蒸溜所です。蒸溜所のある宜蘭県の原住民カバラン族にあやかって命名されました。
亜熱帯気候に属する台湾にあって、夏は40度を超える気温になります。そのため熟成樽からの蒸発速度、エンジェルズ・シェアは年10%と非常に高く(スコットランドでは約1-3%)、樽由来の成分の溶出や濃縮が通常より速く進むと言われています。そのため、本品も6年熟成とスコッチウイスキーやその他地域のウイスキーに比べると短熟ですが、実際には15-30年近い長熟物に引けを取らない濃厚さがあります(原酒そのものの若さは保たれていますが)。カバラン蒸溜所のウイスキー全般の特徴としては、亜熱帯らしいトロピカルフルーツを感じさせる熟成香が挙げられます。また樽由来の風味が時に強すぎるくらいに出ていることも、大きな特徴です。
本品はバーボン樽で熟成されたもので、カバラン特有のトロピカルフルーツ感が特に強く出ていることが特徴です。カバランと言えばヴィーニョバリックなどのシェリー樽系が有名ですが、それらとの比較も非常に面白い一本です。
※本品はシングルカスクの製品なので、カスク番号によって風味が若干異なることにも注意してください。
(2)テイスティング
【香り】
清涼感のあるアルコールのアタック、バニラ、ココナッツ、白い花のフローラルさ、白桃、トロピカルフルーツ、ローストしたパイナップル、フルーツポンチのシロップ、微かに接着剤、ミント。加水するとオレンジの酸味と砂糖
【味】
蜂蜜、オレンジ、バニラ、シロップ、ローストしたオークのビターさ、白胡椒、クローブ、麦芽。加水するとスパイシーさとオーキーさが増す
【総評】
ここまでバーボン樽の影響を受けたモルトウイスキーは初めてかも知れない。丁寧に熟成されたバーボン(FEWとか)の様なフローラルさやトロピカルフルーツのニュアンスと、バニラやココナッツのような甘い香り。味わいはスパイシーさやオーク感が強いが、オレンジやシロップっぽいねっとりした甘さもしっかり出ている。若い原酒らしい力強さと、熟成感のある複雑な香味が同居した、カバランらしい一本。