カバラン ソリスト ヴィーニョバリック/Kavalan Solist Vinho Barrique

(1)特徴

f:id:Liquor:20210102201718j:plain

カバラソリスト ヴィーニョバリック/Kavalan Solist Vinho Barrique

カバラン蒸溜所/金車グループ

・56.3%

・ヴィーニョバリック熟成に使用した樽にて6年熟成

 

カバラン蒸溜所は、2006年に台湾の金車グループによって設立・蒸溜開始した新興のウイスキー蒸溜所です。蒸溜所のある宜蘭県の原住民カバラン族にあやかって命名されました。

亜熱帯気候に属する台湾にあって、夏は40度を超える気温になります。そのため熟成樽からの蒸発速度、エンジェルズ・シェアは年10%と非常に高く(スコットランドでは約1-3%)、樽由来の成分の溶出や濃縮が通常より速く進むと言われています。そのため、本品も6年熟成とスコッチウイスキーやその他地域のウイスキーに比べると短熟ですが、実際には15-30年近い長熟物に引けを取らない濃厚さがあります(原酒そのものの若さは保たれていますが)。カバラン蒸溜所のウイスキー全般の特徴としては、亜熱帯らしいトロピカルフルーツを感じさせる熟成香が挙げられます。また樽由来の風味が時に強すぎるくらいに出ていることも、大きな特徴です(人によってはえぐみを感じてしまう風味レベルの商品さえある)。近年は世界的な品評会で賞を総なめにしている感があり、本品のヴィーニョ・バリックも様々な賞を受賞しまくっています。

本品は、ポルトガルワインであるヴィーニョ・ヴェルデを熟成した樽を使用しています。ヴィーニョ・ベルデは、基本的には低アルコール・微発泡性の口当たりの軽快なワインですが、近年樽内で熟成された製品も増えています。カバラン蒸溜所では、その様なヴィーニョ・ベルデの熟成に使用された樽をトースト・リチャー加工し、そこに原酒を詰めて熟成しています。本品の風味としては、ヴィーニョ樽由来の巨峰のようなフルーティさ、バニラやカスタードの甘み、長熟のような樽由来のオークと樹液のような甘さが特徴です。カスクストレングスならではのパンチのある風味が楽しめます。

※本品はシングルカスクの製品なので、カスク番号によって風味が若干異なることにも注意してください。

(2)テイスティング

f:id:Liquor:20210321233546j:plain

【香り】

巨峰と干しブドウ、ブランデー、バニラやカスタードの甘み、ラムレーズン入りのバターサンド、焦がしたキャラメル、マンゴーやメロンのような甘いトロピカルフルーツ、若干ミントの清涼感もあり。加水すると、焦がしたメープルシロップやドライマンゴー、バニラの甘みが爆発する。

 

【味】

樽由来のオーク、ハーブ、除光液のようなややケミカルなアルコール感、メープルシロップの甘みとぶどう皮目の渋み、紹興酒のような熟成味。加水しても、ブドウ感とオーク、加えてややケミカルな感じという風味は同様。

 

【総評】

短熟カスクストレングスらしいパンチに、長熟のような濃厚な風味という、相反する要素が混在した風味がとにかく楽しい一本。巨峰にバニラにトロピカルフルーツに樹液と、甘みのタイプも多様で奥深い。他のカスク由来のボトルも試してみたくなる。甘いウイスキーが好きな人は必飲。薄味の食事とは合わないが、濃い食事に負けない風味がありデザートとの相性はいい。