キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ3/Kilkerran Heavily Peated Batch 3

(1)特徴

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・キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ3/Kilkerran Heavily Peated Batch 3

・グレンガイル蒸留所

・59.7%

・700mL、約6000円

・バーボン樽80%:シェリー樽20%、約5年熟成

 

グレンガイル蒸留所が半年毎に発売している、キルケランのヘビリーピーテッド原酒の短熟物リリース第3弾。以前レビューした、キルケラン16年、8年カスクストレングス(2021年リリース)、マデイラカスク16年とともに、Whisky Exchange社が主催したオンラインのウイスキーテイスティングイベントに合わせて発売されたサンプルをテイスティングしました。これは日本でも既に発売されています(若干争奪戦ですが)。

キルケランの構成原酒のうち、ヘビーピートタイプの麦芽を使った原酒。ピート焚き込み量は84ppmと、かなり強いピート量です(アードベッグラフロイグが40-50ppm程度)。熟成期間は約5年で、前回のバッチ2をさらに半年長く熟成させたものとのことです。

 

(2)テイスティング

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【香り】

乳酸感が強い。オレンジやレモンの柑橘感のある酸味、青りんごのようなやや青臭いフルーティーさとプラムのような甘さ、都昆布のようなニュアンスのある潮気、海辺の焚火のようなピートスモーク、腐葉土エスプレッソ、トーストしたパン、樽由来のオークの香り。

 

【味】

バニラや塩キャラメル、フルーツポンチの甘み、ヨード感や塩気、焦がした麦芽。飲み込むと強いピートスモークが一気に広がるが、焚き込み量(84ppm)から想像するほどのの強烈さというよりも、草やハーブ、オレンジピールの砂糖漬けのような、甘く柔らかいニュアンスと調和したスモーキーさ。少量加水で、甘みもピート香も強く、しかしながら円やかになりとてもオススメ。

 

【総評】

短熟だが、バニラ&フルーティーな甘みと、キルケランらしい麦芽感と乳酸感も伴って、出来としては非常に秀逸。これで5年熟成とは、ただただ驚くばかり。ポートシャーロットのような甘みのあるピートスモークが好きな人であれば買って後悔ないと思う。ワイン系の樽使いが特徴的なポートシャーロットと違い、麦芽感で勝負している感があり、甘みの質もシロップのようなニュアンスになっており、違った楽しさがある。今回のテイスティングセット(8年カスクストレングス、12年、16年、マデイラ16年、ヘビリーピーテッド)はすべて当たり。キルケランの芯の強さと、奥深い多様性を改めて認識できた。