キルケラン マデイラ 16年/Kilkerran 2004 Madeira Cask 16 yo

(1)特徴

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・キルケラン マデイラ 16年/Kilkerran 2004 Madeira Cask 16 yo

・グレンガイル蒸留所

・54%

・マデイラワイン樽10年→リフィルバーボン樽6年

 

近年、キャンベルタウンのみならずスコッチウイスキーの中で存在感を増しつつあるグレンガイル蒸留所のキルケラン。創業は2004年と比較的新しいですが、キャンベルタウンらしいモルトの旨味と華やかさ、塩気とスモーキーさで人気があります。

 

グレンガイル蒸留所が2004年に創業した際、蒸留したスピリッツをバーボン・オロロソシェリー・フィノシェリー・ポートワイン・マデイラワイン・ラムの6つの樽に入れて、同蒸留所のウイスキー熟成の歴史が開始されました。今回テイスティングするサンプルは、2004年に初めにマデイラ樽(パンチョン樽)に詰められたものです。このシングルカスクウイスキーは、まず2014年の創立10周年の際に、10年熟成物として700本限定(700mL、46%;写真左)でリリースされています。その時に残った中身はリフィルのバーボンホグスヘッド樽に移されてさらに熟成され、2019年の創立15周年の際に、台湾で180本限定(700mL、51.1%;写真中央)で発売されています。今回のサンプルは、この2019年発売の台湾限定ウイスキーがさらに1年、バーボン樽で引き続き熟成されていたものです(写真右)。

 

これは今後も発売の予定はないそうで、今回Whisky Exchange社が主催したオンラインのウイスキーテイスティングイベントに合わせて発売されたものです。正にグレンガイル蒸留所、キルケランの歴史を味わえる、非常に楽しなサンプルです。

 

(2)テイスティング

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【香り】

シャンパンのようなブドウの甘みと炭酸感、桃やプラム、ローストした麦芽、バニラの香りもトップに軽やかに香る。オーク感も強く、ややワクシ―で革製品のような香り、ミントの清涼感、乳酸っぽいニュアンスも感じられる。加水するとオーク感は弱くなり、代わりにプラムやブドウ、ベリー系のフルーティーさとバニラが前面に香るようになる。

 

【味】

ナッツや黒胡椒、強い麦芽の旨味が味わえる。桃の缶詰のようなフルーティーで濃厚な甘み、樽由来のオーク感も後半にかけて強くなる。後味は穏やかなスモーキーさ、灰っぽさ、ビターなハーブの余韻。加水するとフルーツのシロップ漬けのような甘みや、バニラの甘みがぐっと強くなるが、麦芽感やハーブの余韻はしっかり残り、骨太な酒質だと感じさせてくれる。

 

【総評】

キルケランのシングルモルトはこれまでに幾つかテイスティングしてきたが、その中で個人的には一番の好み。マデイラとバーボンの多層的な風味が華やかで、その中でキルケランらしい骨太さもしっかり味わえて飲んでもとても楽しい。8年カスクストレングスでシェリー樽熟成の力を存分に見せつけてくれたが、その他の種類の樽熟成物も楽しみでならない。今後にさらに期待したい。