ローランドとオーヘントッシャン12年/ Auchentoshan 12y

 1. ローランドの特徴

(1) ローランドについて

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 ハイランドに比べて、ローランドはウイスキー製造に関して盛んとは言えない状況。実際に稼働中の蒸留所は15ほどあるものの、地名度があるところと言えば、グレンキンチーやアイルサベイ、ダフトミル、オーヘントッシャンあたりしかない(かつて”ローランドの王”と呼ばれたローズバンクは閉鎖、現在再開に向けて建設中)。スコットランドの大都市であるグラスゴーエディンバラがあったことから、大資本介入による効率的な大量生産が主流になったことから、ハイランドと比較して悪く言えば面白みや華の欠けた製品が多くなった(そして閉鎖に追い込まれた)ことが要因として挙げられます。また酒税法を逃れるために密造酒がメインになった際にも、大都市が近くにあったことが災いし、密造酒造りがしにくかった環境も要因でしょう(スペイサイドなどは密造酒の一大拠点でした)。

ただしグレーンウイスキーの蒸留所やジョニーウォーカーをはじめとするブレンドメーカー、瓶詰業者は現在でも多く残っており、ウイスキー生産には欠かせない拠点であることは間違いないです。

(2) ローランドのウイスキーの特徴

 ローランドと言えば、伝統的な三回蒸留(通常のスコッチウイスキーは二回or二回半蒸留。蒸留回数が多いとより不純物(香味成分も含む)が取り除かれてスッキリした味わいになる)に由来する、ライトで辛口な味わいが特徴です。過去に取り上げたウイスキーマップでは、オーヘントッシャンとグレンキンチーしか記載されていませんが、マップ左下のライトでデリケートな領域に位置することが分かります。

 

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(3) オーヘントッシャンの特徴

オーヘントッシャンはローランドらしく、三回蒸留に由来する爽やかで軽快、ドライな味わいが特徴となっています。

 

2. オーヘントッシャン12年の特徴

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オーヘントッシャン12年は、オーヘントッシャン蒸留所のスタンダードモデル、かつローランドらしさを味わえる代表的な銘柄です。その軽快さはストレートではもちろん、ロックやハイボールでも楽しめる味わいです。

 

3. オーヘントッシャン12年のテイスティング

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【商品情報】

オーヘントッシャン12年 / Auchentoshan 12 year

・40%

・3800円前後

 

【香り】

爽やかで軽いシトラス、バニラ、ナッツ、ハーブ、樽感。加水すると柔らかで粉っぽいバニラ。

 

【味】

口当たりは軽やか。シトラスの酸味と苦み、ほのかな甘さ。加水するとハーブ感と苦みがやや強調。

 

【フィニッシュ】

モルトと生姜っぽい、辛口でキレのある後味。

 

【総評】

癖が全く無く、軽快でドライ。アルコール感が気になる場合はロックやハイボールにするとより楽しめる。カクテルでの用途にも向いている、万能な味わい。