(1)特徴
・ヒュー バーボン/FEW Bourbon
・ヒュー蒸溜所
・46.5%
・トウモロコシ70%、小麦20%、モルト10%
ヒュー蒸溜所は、19世紀の禁酒運動の発祥の地であるイリノイ州のシカゴ北の街、エバンストンにある新興のクラフトディスティラリーです。設立は2011年、「GRAIN-TO-GLASS DISTILLERY」と名乗っていることからも分かる通り、原料から蒸溜、流通までこだわっている蒸溜所です。
FEWという名前は、エバンストンの偉人として知られるフランシス・エリザベス・ウィラードから取られています。彼女は女性参政権運動で有名ですが、アメリカ禁酒運動の先駆けとなった「婦人キリスト教禁酒組合」の設立者でもあります。かつて大半の蒸溜所を閉鎖に追い込んだ禁酒法の当事者の名前を付けるあたりがクレイジーと言うかセンスあると言うか。。。とは言え、禁酒法では男性のみが入れるバー文化(サルーン)に反対する層も一定数おり、禁酒法を経て性別問わず楽しめるようになったという側面もあるので、その発祥の地で新たな一歩を踏み出すのにふさわしいという気もしてきます。
風味は、バーボンらしいバニラやキャラメルの甘さに、溶剤っぽいケミカルな香り、樽由来のビターさやハーブ感が特徴です。
ちなみにアメリカ禁酒法の歴史と影響については、下記のサッポロビールのページが分かりやすく興味深かったのでリンクを貼っておきます。
(2)テイスティング
【香り】
バーボンらしい溶剤の匂い、バニラ、キャラメル、クローブやシナモン系のハーブ、オークとスパイシーさ、金柑のような酸味。加水すると酸味が無くなり、円やかな甘さと若干の溶剤感。
【味】
口当たりはクリーミーで驚くほど円やか。ややオレンジのような酸味を伴ったシロップの甘さ、キャラメル、焦がした樽のウッディさ、温かいスパイスとハーブ。余韻はビターなエスプレッソとオーク、スモーキーさ。加水するとビターさは控えめになり、甘さは滑らかに、ただ溶剤感が増すので好き嫌いが分かれそう。
【総評】
バニラやキャラメルの甘さだけでなく、ローストした樽由来のウッディさやビターさがかなり強く、溶剤感も強い重量感のある風味。加水するとビターな部分のバランスが良くなるので、ストレートよりロック向き。氷が解ける過程をじっくり楽しみたい、分厚い風味。系統としてはジャックダニエルに近い気がする(ぐっと重くなるが、溶剤っぽさが近い)。