イチローズモルト 秩父 ロンドンエディション 2020/Ichiro's Malt Chichibu London Edition 2020

(1)特徴

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イチローモルト 秩父 ロンドンエディション 2020/Ichiro's Malt Chichibu London Edition 2020

イチローモルト

・53.5%

・バーボン樽熟成

 

イチローモルトといえば、かつて羽生蒸溜所を保有していたことで有名な東亜酒造の創業者孫である肥土伊知郎さんが、2004年に秩父市で設立したベンチャーウイスキー社の商品。本商品名にもなっている秩父蒸溜所は2007年に完成しています。その品質の高さは近年世界中で評価されており、日本国外でも人気の高いメーカーです。2020年には初の熟成年数を記載した商品「イチローモルト 秩父 10年 ザ・ファースト・テンが」発売され、今後が益々楽しみな蒸溜所です。

本製品は、イチローモルトが毎年イギリスおよびフランス向けに限定生産しているものです。イギリスではWhisky Exhange/Speciality Drinks社、フランスではLa Maison du Whisky社がそれぞれ販売を行っています。現地での人気は非常に高く、高倍率でのバロット(抽選)に外れると、高値での転売でしか入手しずらい商品です(筆者も外れましたので、今回は運よく購入できたサンプルボトルによるテイスティングです)。樽構成は情報が見つかりませんでしたが、過去はロンドンエディションはバーボン樽、パリエディションはバーボン樽とシェリー樽のバッティングであることが多い印象です。今回飲んだ感じからも、2020年のロンドンエディションはバーボン樽主体と思われます。

(2)テイスティング

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【香り】

微かなスモーキーさ、リンゴとその蜜、洋梨、プラムの甘酸っぱさ、小麦感もある麦芽の香ばしさ、塩気、ソフトなレザー香、ビターさのある柑橘、バニラ、モカコーヒー、生クリーム、時間を置くとタバコのようなニュアンスも若干出てくる。加水すると、フレッシュなフルーツと石鹸、白い花のフローラルさ。

 

【味】

少々スパイシーだが甘味も強い。煮詰めたフルーツポンチ、黒胡椒、生姜、シナモンやナツメグ、ローストした麦芽、オーク。余韻はコーヒーのビターさと麦芽、スモーク。加水すると、レモンピールにシロップをかけたような柑橘感も出てくる。

 

【総評】

華やかさとスモーキーさ、甘さとスパイシーさとビターさ、麦芽感と塩気、それぞれの要素が絶妙に調和されていて美しい風味。ケチの付け所が無い。12~15年熟成でも不思議でないほどの熟成感があり、熟成期間の短さ(公表はされていないが10年未満)を感じさせない。正直入手難易度と転売価格の高さから避けているが、このクオリティなら納得。1.5倍くらいなら喜んで支払える(実際は3~5倍くらいになっているので買いません)。10年物はまだ飲めていないので、供給が落ち着いて気軽に飲める日を楽しみにしたいが、いつになる事やら。。。