トマーティン 10年 ケイデンヘッド/Tomatin 10yo Cadenhead

(1)特徴

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・トマーティン 10年 ケイデンヘッド/Tomatin 10yo Cadenhead

・トマーティン蒸溜所

・53.7%

・バーボンホグスヘッド樽で約8年熟成後、PXシェリー樽で約2年間追加熟成

 

トマーティン蒸溜所は1897年設立、ハイランド地方に位置する蒸溜所で、トマーティンとはゲール語で『 ネズの木の茂る丘』を意味します。1986年には宝酒造に買収されており、日本のメーカーが初めて保有したスコットランドの蒸溜所でもあります。最盛期の1970年代にはスコットランド最大規模の年間1200万L以上の原酒を生産していましたが、2000年代以降は約2万Lと大幅に規模を縮小し、その反面シングルモルトとしての品質とブランド力を年々向上させてきています。

トマーティン蒸溜所の歴史については、ウイスキーマガジンの下記の記事に詳しく書かれているので、是非ご一読ください。

whiskymag.jp

今回テイスティングしたのは、2021年5月のオンラインテイスティングイベントのサンプルです。トマーティン蒸溜所の原酒をバーボンホグスヘッド樽で約8年熟成した後、ペドロヒメネスシェリー樽で約2年間追加熟成したものです。色がかなり濃く、シェリー樽の影響をかなり強く受けた一本です。イベントの様子は下記のYouTubeでも閲覧することが可能です。

www.youtube.com

(2)テイスティング

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【香り】

ダークチョコレート、アメリカンチェリー、レーズン、ベーコン、オイリーさ。奥の方にバニラ、オレンジや琵琶の酸味。時間を置くとメープルシロップの甘い香りが強くなる

 

【味】

オレンジの酸味、シナモン、ぶどうと皮目のタンニン、麦芽穀物、焦がしたオーク、マジパン、どしっと重めのシェリー感ある余韻。時間が経つと甘さ控えめの焦がしたメープルシロップの風味

 

【総評】

シェリー樽の影響をがっつり受けた濃い暗褐色だが、えぐみは控えめで、バーボン樽由来のバニラのような甘さに、シェリー樽由来のブドウやメープルシロップの甘さが上に被さっている。熟成期間らしい力強さと熟成期間らしくない複雑さで、10年で出来る範囲の熟成と味付けをしっかり達成している印象。