(1)特徴
・トラベイグ レジェンシーシリーズ 2017/Torabhaig Legacy Series 2017
・トラベイグ蒸溜所、Mossburn Distillers所有
・46%
・1stバーボン樽で3年熟成
トラベイグ蒸溜所は、2007年夏にスカイ島に誕生した新規蒸溜所。構想自体は2002年にイアン・ノーブル卿が、フルーティでまろやかなピートウイスキーを目指してスタートしたことに遡ります。残念ながらノーブル卿は2010年に他界しますが、その意思は引き継がれて2017年のオープンに繋がりました。インディペンデントボトラーであるMossburn Distillersが所有しています。
場所はスカイ島の南部、トラベイグ村から取られています。ちなみにグーグルマップではトーレベイグ蒸溜所とありますが、現地発音を聞く限りは「トーアベイグ」ぐらいが一番近い気がします。ただ日本語のサイトでは「トラベイグ」表記が主になっているので、それにならって本記事でもトラベイグと表記しています。
(2枚目はhttps://www.masterofmalt.com/blog/post/torabhaig-distillerys-first-whisky.aspxより。実はトラベイグ蒸溜所オープン後にスカイ島に行ったのですが、時間が無くてすっ飛ばしてしまいました)
先述の通り「フルーティーでまろやかなピート」を目指しており、風味のバランスを考慮してピート焚き込み量を試行錯誤したとホームページにも記載があります。その結果、麦芽時点では55-60ppmとかなり高いピート値となったようですが、ボトリング時には約17ppmとぐっと落ち着いているようです。
今回テイスティングしたボトルは、2017年蒸溜・2021年発売の、トラベイグ蒸溜所のファーストリリースとなるボトルです。今回テイスティングした個人的な感想としては、タリスカーよりも穏やかでオーバンよりはやや強め、という印象でした。ピーティーなウイスキーと言うよりも、潮気を感じるアイランズモルトらしいシングルモルトと言えそうです。
(2)テイスティング
【香り】
タリスカーに近いニュアンスの潮風を含んだピートスモーク、バニラウエハース、フローラル、草やハーブ、バターのようなオイリーさ、燃やした木。
【味】
短熟らしいパンチあり。草やハーブっぽいビターさ、花の蜜、塩気。余韻は麦芽とウッドスモーク。芯のしっかりした風味。加水するとかなりビターさが増す。タリスカーよりピート香や柑橘感は控えめで、バニラウエハースのような香ばしい甘みとハーブの香味が。
【総評】
タリスカーと比べるとピーティさは大人しめ、酒質は強め、甘みも強め(ただ短熟なのでこの辺は今後の推移を見守りたい)という風味。今後も同じスカイ島のタリスカーとの比較は避けられないが、タリスカーとは違うアイランズモルトの個性が出ていて楽しみな一本。特に酒質の強さや風味の実直さから、10年と言わず20年以上の長熟への期待も高まる。子供の成長を見守る気持ちで、今後のリリースを期待したい。