(1)特徴
・ウェストフレテレン ブロンド/Westvleteren Blond
・シント・シクスタス修道院/Trappist Abbey of Saint Sixtus(ベルギー)
・5.8%
・ブロンドエール
ウエストフレテレンは、ベルギー西部西フランダースの村、ウェストフレテレンのシント・シクスタス修道院で1838年から生産されているトラピストビール。
ビールの中でも人気の高いトラピストビールにおいて最も評価の高いビールの一つで、ウェストフレテレン 12はBeer AdvocateやRateBeer.comで1位にランクされたこともあります。評価の高い要因には、入手難易度も関係しています。ボトル写真を見ると分かりますがラベルが一切ありません(2023年頃からラベル有のボトルになっています)。これは一般市場で販売していない証拠で、正式に入手するには①オンラインで登録して修道院に車でピックアップ(24本入りケースを1~2ケースまで)、②併設のビジターセンターやカフェで購入、の2通りがありますが、②は販売即完売のようなので訪問タイミングによる運次第、現実的なのは①しかありません。これも車のナンバープレートが控えられており、60日に一度しか購入できないなどの制限もあります。このような手間のかかる入手方法の為、ベルギーに住んでいる人ならともかく、そうでない人にとっては③転売されているものを購入する、しか選択肢がありません。今回私も某ワイン小売店から購入しました(1本€6~9で修道院で買う価格の3~4倍くらい。送料が痛いが、価格自体は手間を考えると妥当)。というかベルギーに住んでいる人でも、24本入りを買いに並ぶのは結構な手間なので、転売しているものを買った方がラクまであります。ごく稀に修道院の修繕費等を稼ぐために市場販売されることがありますので、もしタイミング良く出会えたら買うことをお勧めします。
先述の通りボトルにラベルが無いため、種類を区別するためには王冠を見る必要があります。下の写真にあるように、ブロンドが緑、8が青、12が黄の王冠になっています。
今回テイスティングしたウェストフレテレン ブロンドは、3つの中で最も度数が低いブロンドです。黄金色のブロンドエールで、評価が極めて高い8や12と比べると地味で人気が低いものの、やはり高い評価を受けている一本です。また度数の高い8や12は比較的保存が効く(とはいえ転売商品購入時には注意)のに対して、ブロンドは劣化しやすいため良い状態での入手がさらに面倒だった印象です。
(2)テイスティング
【香り】
上品な柔らかい麦芽、穀物、プラム、パイナップルやみかんの缶詰
【味】
クリーミーで滑らか。麦芽、オーク、穀物、みかん、柑橘ピール、ハーブの穏やかなビターさ
【総評】
穏やかで上品なゴールデンエール。柔らかい口当たり、麦の香ばしさと柑橘のフルーティな甘さ、穏やかなハーブの余韻に至るバランスがとても良い。風味はしっかり濃厚だが飲みやすい。
確かに旨いが、評価サイトでベルギーブロンドエールNo.1となるほどかとも思ったりする。この辺は入手難易度と比例して過剰に評価されている気がする。上品でバランスが取れていてかなり旨いビールの一つ、ではあるが傑出度は低い。瓶詰め直後のものを飲むと印象が違うのかも。