アードベッグ スコーチ/Ardbeg Scorch

(1)特徴

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アードベッグ スコーチ/Ardbeg Scorch

アードベッグ蒸溜所

・46%

 

2021年のアードベッグ・デー限定の商品。ヘビリーチャーしたバーボン樽で熟成したものです。樽の構造に手間を加えた限定品としては、オーリヴェルデ(2014年;樽の蓋に特殊加熱加工)やグルーヴス(2018年;ワイン樽をヘビーチャー)が発売されています。

ボトルは2種類あり、アードベッグコミッティー会員向けのもの(上の写真右;アルコール度数51.7%)と、一般向けリリース(写真左;アルコール度数46.0%)があります。本記事でのレビューは一般向けリリースのものです。ちなみに値段は両方とも£100ほどと何故か同価格帯でした。箱代?にしては高すぎる気がしますが・・・

 

ボトルには「アードベッグ蒸溜所に住み着いたドラゴンに、ショーティーが立ち向かった」という、本ボトルのコンセプトとなったストーリーが書かれています。詳細は下記の引用の通りです。アードベッグデーのサイトに行くと、更に詳しいストーリーが、凄く凝った学園祭映画みたいな映像と共に楽しめます。 

 

2021年のアードベッグ・デーは英雄やドラゴンの物語が多く語り継がれるアイラ島ならではのテーマ。今回は、中でも最強の伝説と言われる強烈なアードベッグの炎を噴くドラゴンのお話がテーマとなりました。

そのドラゴンはアードベッグ蒸留所の3番倉庫に住み着き、気性が荒く、強烈にスモーキーな息を吐き、蒸留所の人たちを恐怖に陥れていました。

そんな中、立ち上がったのがアードベッグのマスコット犬、ショーティー。果敢にドラゴンと戦い、無事に蒸留所を守り抜きました。戦いに敗れたドラゴンは究極のスピリッツへと姿を変え、戦いの炎によって施されたチャー(風味付けのために樽の内側を焼きつける手法)のカスク(樽)が勝利の証として残りました!

ドラゴンとの戦いの炎による煤と煙のアロマを存分に感じる数量限定商品『アードベッグ スコーチ』を、今年のアードベッグ・デー(6月5日)に愉しんでみてはいかがでしょう。

 

香り:
恐ろしいほど濃厚な煤と煙のアロマが押し寄せる。熱した鋼鉄を水で急激に冷却した時の匂い、革製品用のサドルソープなどの骨太な要素に、アニスやパチョリ(ハーブ)が絡み合う。加水するとイバラやセージ、松の枝などのハーブ香が際立つ。

味わい:
オイリーでスパイシーな口当たり。甘いスモークと焦がしたオークの風味が渦巻くように口を包んだ後、薬用キャンディーに、グリルした肉料理やブラックリコリス(甘草とアニス風味の菓子)が複雑な風味を織りなす。

余韻:
煤やタールの余韻がいつまでも続く。

 

 

www.youtube.com

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(2)テイスティング

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【香り】

潮と海藻を感じるピート香、レザー、リコリス、お香の灰、鉄やミネラル、ミックスフルーツオレ、焼いたバナナや柑橘、パイナップル、プリンやクリーミーなカスタード感も徐々に強くなってくる。加水すると、穏やかなスモークとフルーツ缶の香り。

 

【味】

焦がしたオーク、ウッドスモーク、灰、柑橘、クリーム、蜂蜜、黒胡椒、リコリス。加水すると、滑らかなフルーツ缶の甘さと焦がしたオーク。加水してもバランスが良い 

 

【総評】

過去のアードベッグデーボトルで言えば、2014年オーリヴェルデに系統は近いが、ビターさやコーヒー感はやや控えめで、磯感や南国フルーツ中心のフルーティさや甘みが強い。加水してもバランスよく上品。素直ながらパワフル&華やかな飲み口で、個人的にはここ数年のアードベッグデーリリースの中では1,2位を争う好みのボトル(毎回毎回「今回のも旨いな」と思う馬鹿舌ですが)。感動するような旨味や面白みがあるわけでは無いが、期待していた通り+αの出来に感じた。度数高めのコミッティーボトルも非常に楽しみ。