(1)特徴
・ベンリネス 11年/Benrinnes 11yo
・ベンリネス蒸溜所/ケイデンヘッド社ボトリング
・46%
・ペドロヒメネスシェリー樽40%:バーボン樽40%:ラム樽20%
ベンリネス蒸溜所は1826年にスペイサイド地方の町アベラワ―に設立された蒸溜所で、現在はディアジオ社が所有しています。主にジョニーウォーカーやJ&Bなどの構成原酒として使われており、シングルモルトとしてのラインナップは余り無い蒸溜所です。
かつては蒸溜方法に特徴があり、もろみ液の一部を3回蒸溜、それ以外は2回蒸溜と言う”2.5回蒸溜”というスプリングバンクと似た手法を取っていました。しかし2007年にこの2.5回蒸溜は廃止され、現在ではすべて2回蒸溜となっています。そのため今回テイスティングしたものは2009年頃の蒸溜なので2回蒸溜です。
入手しやすいボトルとしてはディアジオ社の花と動物シリーズのベンリネス15年がありますが、蒸溜方法の切り替えタイミングから考えると15年物は2022~23年頃を境に味が変わることが予想されます。もし現在の(2007年蒸溜以前の)15年物がお好きな方は、少し買い溜めしといて新しいものと比較してみても面白いと思います。
風味としては、スペイサイドらしからぬオイリーで厚い酒質、ナッティさやサルファリーさが特徴とされています。
(2)テイスティング
【香り】
カルバドス、オレンジ、レーズン、生姜、クッキー、湿気た木。時間おくと、バター やカスタードのオイリーな甘さも良く出る。
【味】
口当たりはとても滑らか。甘いフルーツとビターさ、キャラメル、焦がした木、シナモンや辛めのスパイス、煮つめたりんご。余韻は牧草やウッディさを感じさせるやや強めのビターさ。
【総評】
ブランデーのような熟したりんごの香味、甘く滑らかな口当たりにスパイシーな余韻。シェリー樽由来のぶどうと、ラム樽由来のスパイシーさ、時間を置くとバーボン樽由来のカスタードも出てきて、複雑な樽構成ながらバランスは極めて良い。やや余韻のビターさが強いので、氷や水を足しながら調整して飲むと良いと思う。