(1)特徴
・コッツウォルズ シングルモルト/Cotswolds Single Malt
・コッツウォルズ蒸留所
・46%
・ファーストフィルバーボン樽、リチャー赤ワイン樽で3年熟成
ウイスキーの本場と言えばスコットランドですが、お隣(というか同じイギリス)のイングランドでもウイスキーが作られています。とは言え、ジンの生産がメインだったイングランド。かつて18ほどあったと言われる蒸留所は1905年頃までに全て閉鎖してしまい、2003年頃から再開されるまで約100年のブランクがあります。ウイスキーブームに乗って、現在は約8か所の蒸留所がありますが、それでもスコットランドに比べると少ないものです(数自体は日本と同程度ですが、規模は足元にも及ばない状態です)。
今回テイスティングするのは、2014年設立のコッツウォルズ蒸留所のシングルモルトです。コッツウォルズと言えば、イングランドの原風景を今に伝える田舎町で、そのイメージに沿った現地産の上質な原料(大麦)、昔ながらの手工程(フロアモルディング)、二種類の酵母を使ったフルーティーな醸造、などを特徴としています。風味の特徴としては、爽やかな青りんご感が挙げられますが、まだ発展途上で今後どのように成長していくのか注目の銘柄でもあります。
(2)テイスティング
【香り】
フレッシュな青りんご、バニラ、シナモン、花の蜜、ミント。少し石鹸っぽいケミカルなクリーミーさもある。アルコール感の嫌みは全くなく、フレッシュな青りんご感全開。加水すると、麦芽と石鹸感がやや強くなる。
【味】
青りんごや蜜のフレッシュな甘さ、麦芽も強め、焦がしたキャラメルや木、ハーブ感のあるコーヒーの苦み。加水すると、青りんごと麦感が強くなる。余韻はやや石鹸っぽい人工的な甘み。香りとはややギャップがあり、アルコールのビターさがやや強めに感じられ、麦芽感も強く、かつ甘みは控えめ。
【総評】
短熟ながら香りはフレッシュでありながらとてもフルーティ(主にリンゴ)、アルコール感は香りからはほぼ感じず、飲めば感じるがそこまで嫌みは無い。短熟らしい爽やかさがあり、ハイボール向きな一本。グレンフィディックのようなタイプに成長するのか、それとも熟成を重ねて別の方向に行くのか。今後が楽しみな一品。