タリスカー 1978 41年/Talisker 1978 41yo

(1)特徴

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タリスカー 41年/Talisker 41yo

タリスカー蒸留所

・50.7%、700mL

アメリカンオーク バーボンリフィル樽で41年熟成後、ソレラシステムで41年使用したマンザニラ・シェリー樽で後熟

 

タリスカーがオフィシャルで発売している中では最長熟の41年熟成物。英国ウイスキー・エクスチェンジ社が発売するテイスティングセットに含まれており、貴重なテイスティングができました。

タリスカーで熟成期間表記をしているものとしては10年、18年、25年、30年がありますが、2018年から発売しているものが、超長熟のボデガシリーズです。これは1830年創業のタリスカー蒸留所が、かつてすべての原酒をシェリー樽熟成していた歴史のオマージュとして作られたもの。40年を超える超長熟の原酒を、タリスカー蒸留所の取引記録に残る最古のボデガ(シェリー生産者)の一つであるデルガド・スレタのシェリー熟成ソレラシステムで実際に使われていた樽を使って、後熟をかけた贅沢な一品です。2018年の第一弾では40年熟成物、今回テイスティングする2019年発売の第二弾が41年熟成物です。

特徴としては、超長熟らしい濃厚な口当たりと、それに負けないシェリーのトップノート、そしてタリスカーらしい骨太さです。

 

今回はタリスカーの縦飲みとして、10年、ディスティラリーエディション(10年+追熟)、18年、25年と来ましたが、最後のトリを飾る一品です。過去の記事は下記を参照ください。

(2)テイスティング

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【香り】

長熟で芳醇なコニャックやラムのような香り、バニラの香りは18年や25年より強めでバニラエッセンスのような印象、焼いたフルーツケーキ、レーズンやマスカット、煮詰めた桃、焼いたパイナップルやココナッツの南国系フルーツ、キャラメル、森の中のやや枯れたオーク。タリスカーらしい潮風とスモーキーさも背後にしっかり感じる。加水で、上品なシェリーとカスタードの甘さ、アーモンドの香ばしい香り。香りの多様性と重厚さが凄まじい。

 

【味】

煮詰めたフルーツポンチのようなフルーティさ、バニラにキャラメルとカスタードがかかったような滑らかな甘さ、やや辛めのスパイシーさ、木を燃やしたスモーク、ハーブミックス、アーモンド、樽由来のオーク感も深い。18年や25年と比べると麦芽感がやや控えめになり、全体が美しく調和している。少量加水で、フルーティさとシロップのような甘みが爆発、ただスパイシーやハーブ感も強くなりしつこくない。余韻は長く、タリスカーのスモークと潮気、加えてフルーツケーキを食べた後のような甘さ。

 

【総評】

抜群にうまい。タリスカーの特徴が失われておらず、かつそこにとても多層的で多面的な風味が加わっている。香りの面では、タリスカーらしさはフルーティで濃厚な甘みの奥に引っ込んでいるが、口に含むとタリスカーらしさがちゃんと爆発する・・・41年熟成させても失われない個性の強さには感心。追熟具合も、あくまで41年熟成した風味を損なわない程度の上品さで、味をまとめる技量も高いなと感じる。個人的には18年がタリスカーらしい綺麗な完成形と思っていますが、この41年は進化系ですね。同窓会で久々に会ったら出世して大人びていたけど、話すと昔の面影がある人みたいな。

流石においそれと買える値段では無いですが、タリスカー好きなら、もし運よくバーなどで見かけたらぜひ飲んで頂きたい。それでも高いけど給付金をつぎ込めば何とか。。。