(1)特徴
・エンゲルスツェル ツヴィックル/Engelszell Zwickl
・4.7%
・ケラービール、ツヴィッケルビール
エンゲルスツェルは、オーストリアのシティフト・エンゲルスツェル修道院で生産されているビール銘柄。修道院の設立自体は1293年と古いですが、トラピストビールの生産を開始したのは2012年と最近のことです。過去には1590年頃にビール醸造の記録があるようですが、一度修道院が破壊されて(1925年にグレゴリウスという修道僧により再建)いることもあり途絶えていたようです。他のトラピストビールと比べると生産量はかなり少なく、入手がやや面倒な銘柄でもあります。
今回テイスティングしたのはツヴィッケルビール(ケラービール)です。ドイツスタイルの無濾過ラガービールを樽熟成させたものです。『ツヴィッケル』は樽に取り付けられた鍵や蛇口のことを指し、ツヴィッケルビールは木樽に入ったビールをツヴィッケルを使って直接注ぐことが由来のスタイルです。トラピストビールとしてドイツスタイルビールを生産している(たぶん)唯一の修道院が、2019年に開発したWeisseに次いでリリースした商品です。アルコール度数はやや低め、オーストリア産ホップを使用したビターさは控え目、ボディがありつつ軽快な飲み口のビールとなっています。
(2)テイスティング
【香り】
酸味のあるフルーツ、柑橘、小麦や穀物、パイナップル、ストロベリー、ライチ
【味】
穀物、オレンジやグレープフルーツ、小麦、柑橘ピール。軽快でとてもキレが良い
【総評】
トラピストとっぽく無い、かなり軽快で酸味のある爽快な口あたり、穀物感はしっかりあるのでボディはそこそこ。フルーティさは香りにはパイナップル系もあるが、味はシンプルな柑橘くらいしか感じなかった。夏向きの飲みやすい風味。