ピート モンスター/Peat Monster

(1)特徴

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・ピート モンスター/The Peat Monster

・コンパスボックス

・46%

 

ピートモンスターは、ロンドンにあるボトリング会社、コンパスボックス社が販売するブレンデッドモルトウイスキーです。コンパスボックスは、ジョニーウォーカーのグローバル・マーケティング・ディレクターとして活躍していたジョン・グレイサー氏によって2000年に設立されました。

 

グレイサー氏はウイスキー造りで様々な革新的なチャレンジをしていることでも有名です。例えば、ウイスキー樽の中に仕切り板を設置してウイスキー熟成を早める手法を導入したり、ブレンデッドウイスキーの構成原酒の情報(蒸留所、熟成樽、熟成年数、ブレンド比率など)を事細かに開示するなど行いました。これらチャレンジ精神は多くの人々から評価され、ウイスキーマガジン誌のイノベーター・オブ・ザ・イヤーを4度受賞するなどしています。一方でスコッチウイスキー協会と衝突することも度々で、樽の中に仕切り板を設置したものはスコッチウイスキーと名乗れないと言われたり(バーボンでは認められており、メーカーズ・マークなどでは同手法のバーボンを発売しています)、複数の熟成年数の樽を表記する際には最低年数以外開示してはいけないなどのクレームです。どれも些細な問題のようにも思えますし、実際にグレイサー氏は裁判等も通じて戦っていたりします(なかなか上手くいっていないようにも見えますが、あくまで良いウイスキーを作りたいという挑戦ですので、個人的には応援しています)。

 

今回 紹介するピートモンスターは、コンパスボックス社の代表的な商品です。コンパスボックス創業間もないころ、ニューヨークの酒小売店向けの商品サンプルを作っている際に、もっとピートを効かせたブレンドにして欲しいとの要望を受けて作ったピートを効かせまくったサンプルに『モンスター』と表記して送ったことが元になっています(これがピートモンスターの元になりました)。

 

ピートモンスターの構成原酒は以下のようになっています。風味はカリラのフルーティーさとラフロイグのヨード感、樽由来のスパイシーさが特徴です。

 

 カリラ(リフィル・ホグスヘッド):54%

 ラフロイグ(リフィル・ホグスヘッド):34%

 レダイグ(リフィル、ピートタイプ):6%

 アードモア(リフィル・ホグスヘッド):5%

 ハイランド ブレンドモルト(ヘビートースト フレンチオーク):1%

 

(2)テイスティング

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【香り】

アルコールやミント、磯感のある爽やかで刺激的なピート香、グレープフルーツ、リコリス、ハッカ、オレンジやイチジクのような甘みも感じられる。加水するとピートの刺激と柑橘感はそのままに、オーク感がやや強くなる。

 

【味】

ヨードと塩気を強く感じる飲み口。干し草やオーク、ペッパー、燻製ベーコン、花の蜜や柑橘系のやや酸味を伴った甘み。少量加水でぐっと角が取れて、樽感や蜜の甘さも出てきて飲みやすくなる。

 

【総評】

アルコールやピートのパンチが効いた、正にモンスターな味わい。少量の加水でぐっと角が取れて甘みも出てくるのでオススメ。風味としてはカリラの酸味あるフルーティーさと、ラフロイグのヨード感あるピート、さらに恐らくヘビートースト樽由来と思われる焦がしたようなスモーキーさも味わえる。カリラ好きには特にお勧めできる一本。