アイラ ウイスキー カスク (イニス & ガン)/Islay Whisky Cask (Innis & Gunn)

(1)特徴

・アイラ ウイスキー カスクIslay Whisky Cask

・イニス&ガン/Innis & Gunn(イギリス)

・7.4%

・レッドエール、アンバーエール

イニス & ガン社は2003年設立、イギリスのスコットランドエディンバラにある醸造所。Dougal Gunn Sharp氏によって設立されています。

Dougalはかつてエディンバラにあった父親の醸造所で10代の頃に仕事を手伝っていたものの働いていたものの、醸造所は1994年の火災で焼失。しかし再建した後の2001年にはイギリスNo.1ビールを決めるコンペティションスコットランドのビールで初めて優勝するなど、確固としたキャリアを築いてきたようです。転機となったのはウイスキーメーカーのウィリアム・グランド&サンズ社から「ウイスキー熟成樽を使ったビールが出来ないか」と持ち掛けられたことで、2003年にそのアイデアをもとにイニス & ガン社を設立し、今に至るまで様々な樽熟成ビールを生産しています。

今回テイスティングしたのは、ラフロイグ蒸溜所で使用した樽で12週間熟成させたビールで、2022年にリリースされたものです。麦芽は同社のエールモルト、ロースト大麦、チョコレートモルトの3種類を使用、ホップはスーパーストリアン種を使用しています。

ウイスキー樽での熟成でいえば、同社ではアイリッシュウィスキー樽やバーボンウイスキー樽での熟成物がありますし、他社でもハイランドパーク蒸溜所の樽で熟成させたものもあります。また2020年にはアードベッグのピーテッドモルトを使用したビールもリリースされています。最近はこういったコラボも増えてきている印象で、ビールもウイスキーも好きな自分としては嬉しい流れと感じています。

(2)テイスティング

【香り】

確かにラフロイグがそこにいる。オークとラフロイグのピートっぽいスモーキーさ、チョコレート、ロースト麦芽、いちじく、ローストプラム、キャラメル

 

【味】

ラフロイグらしいピートスモークとほのかな潮気、湿ったオークの樽感、ロースト麦芽、チョコレート、ローストしたハーブ、プラムやチェリーのダークフルーツの風味も

 

【総評】★

飲み口はそこそこ軽快なレッドエールで、度数の高さを負担に感じない。香りから長熟で枯れ気味のアイラモルトの雰囲気が漂っていて、チョコレートやダークフルーツ、ロースト麦芽の濃厚な風味の上を駆け抜けていく。味わいも同じく枯れ気味のやや潮気のあるアイラモルト感があり、甘ったるくも重くもなく、じっと落ち着いた風味にまとめてくれている。

樽感とビールの風味のバランスがやや悪いが、アイラモルト好きとしてはとても楽しい一杯だった。ウイスキー樽感がここまではっきり出ているビールは中々なく、そういった意味でも面白い一杯。アードベッグがコラボしたポータービールは、ピート感がロースト麦芽の後ろに隠れ気味だったので、これくらいの風味のビールとの組み合わせくらいがちょうどいい気がする。