(1)特徴
・ボウモア アイラフェス2021 ライブテイスティング/Bowmore Fèis Ìle 2021 Live Tasting
・コアレンジx3(12年、15年、18年)、フェスボトル(18年シェリー、23年バーボン)
・ボウモア蒸溜所
2021年6月2日のアイラフェス2021にて行われた、オンラインで行われたライブテイスティングのレビューです。
2021年のフェスボトルは2つ。1stフィルのオロロソシェリー樽で18年熟成したものと、1stフィルのバーボン樽で23年熟成された1996年シングルカスクです。ともに本来2020年に発売予定だったもので、コロナの影響で2020年にリリースできなかったものが、そのままスライドして発売されました(そのためテイスティングセットなどの表記は”Fèis Ìle 2020”)。フェスボトルは、それぞれ公式サイトからバロット(抽選)販売されました。
なお今回は、同時に発売されたテイスティングセットのテイスティングレビューを行いました。ブナハーブンもそうでしたが、こういうテイスティングセットを用意してくれるのは非常に良心的で、ボトルを買う余裕はないけど一杯試してみたい、という私にとってはとてもありがたいことです。
テイスティングセットは上の写真のような内容で、エコバッグ、冊子、ポストカード、コアレンジの12年と15年と18年、フェスボトルの18年と23年の5サンプルに、テイスティンググラス、スポイト、ボールペン、が含まれています。結構盛り沢山な内容です。なおコアレンジ品は開封済みのボトルがあったので、そちらを使ってテイスティングしました。
(2)テイスティング
①ボウモア12年
【香り】
上品なピートスモーク、お香、洋梨、柑橘、パッションフルーツ、生クリーム。加水するとオブラートや紙、牧草っぽさ
【味】
蜂蜜、柑橘、ジューシーなパッションフルーツ、焦げたウッドスモーク。12年にして素晴らしいバランス。加水するとハーブ感が増す
②ボウモア15年
【香り】
黒糖、キャラメルシロップ、穀物、クリーム、煮た桃缶やプラム
【味】
柑橘の酸味とスパイシーさ、蜜やフルーツポンチのシロップの甘さ、柑橘ピール、灰っぽさ、ウッドスモーク。加水で蜜感が増す
③ボウモア18年
【香り】
さくらんぼのシロップ漬け、レーズン、クリーム、オレンジ、チョコレート、乾いたウッドスモーク
【味】
温かいピートスモーク、オレンジピール、スパイス、オーク、チェリー、洋梨、シロップ、やや焦げたウッドスモーク
④ボウモア18年 アイラフェス2021
【香り】
レーズン、プラム、ジャム、枯れ木や古本のような湿気たスモーク、塩気、オリーブ、穀物、バニラ。加水するとチェリーカスタード、メープルシロップ、醤油
【味】
オイリーな口当たり。香りで感じた以上のスモーキーさがくる。スパイス、燻製、塩気、微かにダークチェリーやブラウンシュガー、麦芽。後味は燃えた木や灰っぽいビターさ、リコリス、エスプレッソ、紅茶やタンニンの渋み、醤油
⑤ボウモア23年 アイラフェス2021
【香り】
バニラ、メントール、竹笹、葉っぱで蒸したり発酵した米、トロピカルフルーツ。加水すると焦がした柑橘ピール
【味】
バター、ウッドスモーク、カラメルのビターさ、蜜やフルーツポンチのシロップ、トロピカルフルーツ、牧草や焦がしたハーブ。加水すると、ペッパーや生姜のスパイシーさと燻したハーブのビターさ
(3)総評
アイラフェスボトルは双方とも出来が良く、18年はより濃厚フルーツ感と枯れたようなピート感、23年はコアレンジ品では味わえないバーボン樽由来のバニラやトロピカルな風味にハーブ感が非常に楽しい一本。また縦飲みすると、改めて12年~18年のコアレンジ品のクオリティの高さが実感できる。 全て飲んだ上で12年や15年が一番好き、という人もいると思われる出来。まさに『アイラの女王』に相応しいラインナップと、アイラフェスボトルに相応しい個性。
先にも述べましたが、イベント時にこういうサンプルセットを販売してくれるのは、とても良心的です。特に近年は限定ボトルの入手難易度が馬鹿みたいに上がる傾向があるので、多少割高になってでも、サンプルボトルを大量販売するなどして裾野を広げることは大切だと思います。この辺、ボウモアを所有しているサントリー自身が日本でも行っていくべき動きなのでは、と考えずにはいられません(派手にやるとバーや飲食店との関係が悪化する(客が奪われる)、という懸念があり躊躇しているのかも知れませんが、長期的に見ればwin-winだと思いますし、少なくとも何も対策しないのは今の状況下では不適切な気がします)。