(1)特徴
・ノックニーアン オーガニック バッチ2/Nc'Nean Organic Batch 2
・ノックニーアン蒸溜所
・46%
・STR(shaved, toasted and re-charred) 赤ワイン樽65%、バーボン樽35%で3年熟成
ノックニーアン蒸溜所は2017年創立の新しい蒸溜所です。ロンドンでコンサルタントをしていたアナベル・トーマス氏が、何かウイスキー業界で新しいことが出来ないかと考え、オーガニック&再生エネルギーに拘ったモダンな蒸溜所として設立しました。ちなみにノックニーアン(Nc'Nean)とは、スコットランドの伝承に登場する「魔女の女王/妖精の女王(Neachneohain)」から取られています。
原料は100%オーガニック、地元の森から採れたウッドチップを使ったバイオマスボイラーを使用するなど100%が再生エネルギー、製造工程で出る副産物は動植物の餌や肥料として再利用されています。
生産に関しても、ジム・スワン博士の力を借りて、様々な特徴が導入されています。マッシュ時間は長く、複数の酵母を用いた長時間発酵を採用しています。またポットスチルはランタン型で、水平に設置されたラインアームとシェル&チューブコンデンサーにより、軽やかでフルーティーなスピリッツが生み出されます。そして熟成庫の温度が調節可能で、熟成過程を細かくコントロールできるようになっています。そのため、オーガニックと聞くと思い浮かべる「昔ながらの伝統的な」というイメージではなく、かなり最先端の蒸溜所と言えます。
まだ短熟の製品しかリリースされていませんが、完成度が高く、大きな評価を受けています。特に華やかなフルーティさとフローラルさが特徴と言える蒸溜所です。
(写真1)スコットランド西部のモーヴァン半島に位置しています
(写真2)僻地ですが、近くには同様のコンセプトを持つアードナムルッカン蒸溜所が右上に、マル島のトバモリー蒸溜所も左下に見えます。
(写真3)蒸溜所近くの風景。正にオーガニック。
(写真4)ポットスチル
※写真3と4は下記のNc'Nean蒸溜所のホームページより
(2)テイスティング
【香り】
始めにカスタードやキャラメル、次にリンゴや和梨のフルーティさ、最後に花の蜜やスミレ、ハーブ、柑橘が感じられる。ウエハースのような穀物感のある香りもある。
【味】
3年熟成にしてはとても滑らか。甘さは花の蜜主体、カスタード、オーク、アニス、焼いたビスケット。後味は木や草っぽいビターさ、スパイシーさ。
【総評】
香りは10~12年熟成くらい、味は8年熟成くらいという印象。香りのカスタードやフルーツ、フローラルさの広がりはとても心地良く、奥の柑橘や穀物感もとても良い。味はやや若く浅い印象があるが、口当たりは滑らかで、樽由来の風味も十分出ていて、ストレートでも十分楽しめるクオリティ。アードナムルッカン蒸溜所と並んで今後が楽しみな蒸溜所の一つとなった。