ブローラ 1977 35年 12thリリース/Brora 1977 35yo 12th Release

(1)特徴

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・ブローラ 1977 35年 12thリリース/Brora 1977 35yo 12th Release

・ブローラ蒸溜所

・49.9%

・リフィルアメリカンオーク樽、ヨーロピアンオーク樽

 

ブローラは、クライヌリッシュの姉妹蒸溜所として1983年まで稼働していた閉鎖蒸溜所です。

ブローラ蒸溜所の歴史を知るためには、クライヌリッシュ蒸溜所の歴史を知る必要があります。クライヌリッシュ蒸溜所が1819年に設立された後、ウイスキー需要に応える形で、1967年に近くに新たな蒸溜所を設立して移転、旧蒸溜所は一旦操業が停止されます。しかし1969年、改装期間に入ったカリラ蒸溜所に変わりジョニーウォーカーにピーテッド原酒を供給する目的で、旧クライヌリッシュ蒸溜所がブローラ蒸溜所と名前を変えて再開します。ジョニーウォーカーへの供給が終わった後もシングルモルトとしてのリリースを続けますが、1983年惜しまれながら閉鎖されました。当時の人気も高く、閉鎖蒸留所の中でも1,2を争う人気を誇っています(近年のウイスキーブームにも乗って2021年に再開予定)。

比較的強いピート香が特徴で、ppm値はカリラと同じ30-35ppmだったと言われています(70年代の方がピートが強く、80年代はやや控えめになっています)。またアイランズモルトに近い塩気の強さ、スパイシーさなど、ピート以外でも荒々しい風味が楽しめます(長熟なるとここにフルーティさも加わるものの、あくまで口当たりはドライ)。

 

(2)テイスティング

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【香り】

生ハムメロン、煤っぽいピート香、カビ、発酵食品、青リンゴや青いフルーツの香り

、杏、裏にバニラやカスタード。

 

【味】

強めの塩気、麦芽の香ばしさ、古びて湿気た樽香、チーズ、花束のような繊細なフローラルさ。飲み込むと、ウッドスモークとも少し違う潮気と湿気と若干のカビ臭さも含んだ強いスモークが広がる。牧草や木造の古民家、ブルーチーズ。

 

【総評】

長熟だがフルーティさや甘さに寄ることなく、あくまでも荒々しさが枯れて円熟味を増した様な風味。野花を集めたような繊細なフローラルさもある。ピートは、アイラ系でも内陸系でもなく、古書やチーズ、古民家のようなアンティーク感のある香りで独特。クライヌリッシュ同様、替えの効かない独特な風味で癖になる(高くて中毒になるほど飲めないけど)。