オクトモア 2009 10年/Octomore 2009 10yo

(1)特徴

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・オクトモア 2009 10年/Octomore 2009 10yo

・ブルックラディ蒸溜所

・54.3%、208ppm

・ヴァージンオーク、1st&2ndアメリカンウイスキー樽で10年熟成

 

2020年発売のオクトモアの中では長熟にあたる10年物です。11.1や11.3が大麦の影響、11.2が樽の影響を表現したものとすると、10年物はまさに熟成期間による様々な影響を表現した商品です。今回は2018年以来2年ぶりとなる第4弾となるリリースで、合計77の樽で熟成した原酒をバッティングして作られています。77の樽構成は以下の通りです。

 

・46樽:1stフィル・アメリカンウイスキー樽(ジムビーム、ヘヴン・ヒルバッファロー・トレース、ジャック ダニエル)で熟成

・15樽:初めの6年間は1stフィル・アメリカンウイスキー樽で熟成後、残りの4年を2ndフィル・アメリカンウイスキー樽で熟成

・16樽:1stフィル・ヴァージンオーク樽で8年熟成した原酒(20%)+1stフィル・アメリカンウイスキー樽で熟成後に2ndフィル・ヴァージンオーク樽で追加熟成した原酒(80%)をバッティングし、残りの2年間を2ndフィル・アメリカンウイスキー樽でさらに熟成

 

ややこしくて読む気が失せる内容です。要は「ヴァージンオークとバーボン樽で(色々工夫して)熟成した」という事です。とにかくブルックラディ蒸溜所は熟成樽の切り替えにも試行を繰り返しているようで、複雑な熟成情報となることがしばしばあります。この10年物はまさにそれです。

特徴としては、オクトモアらしい力強いピート感に、10年熟成ならではの熟成感が加わった厚みのある風味が挙げられます。

 

(2)テイスティング

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【香り】

11.1や11.3と比較すると磯感は若干控えめで、湿ったウッドスモークが漂う。グレープフルーツやオレンジ、すもも、バニラやカスタード、シナモンやナツメグ。加水すると、煙とフルーツのバランスが抜群に良くなるのでオススメ。焼きパイナップルや桃のような熟した甘さも良く出てくる。

 

【味】

シロップやバニラの濃厚な甘さの直後に、香辛料的なスパイシーさがバチバチとやってくる。湿ったオーク、燻した牧草、塩気、ローストしたグレープフルーツやオレンジ、オレンジピール、ミントの清涼感。余韻はローストしたオークとアーモンド、ピートスモークと塩気。加水すると、煙とフルーツポンチのような甘さが広がる。

 

【総評】

11.1や11.3と比べるとそこまで評価は高くなかったが、個人的には甘さとパンチの強さが備わっていて、3つの中では一番の好み。特に少量加水で出てくるフルーティさが良かった。オクトモアらしい力強さと程よい熟成感が感じられる。まだ熟成感に不十分さはあるものの、今後の成長を期待したくなる。