(1)特徴
・アーーーーーードベッグ!/Arrrrrrrdbeg! Committee Release
・アードベッグ蒸溜所
・51.8%
・ライウイスキー樽で熟成
※日本語版もリリースされたので、一部内容をアップデートしました
2021年リリースのアードベッグ・コミッティ向けの製品。アードベッグ再開以来13年にわたり指揮していたアードベッグ蒸溜所所長のミッキー・ヘッズ氏の退任を称えて、リリースされたものです。アードベッグでは初のライカスクでの熟成で、熟成期間は不明(ノンエイジ)です。
アードベッグ蒸溜所にて13年間、蒸溜所長とコミッティーの会長も務めたミッキー・ヘッズが退任する事になりました。頼もしいミッキー船長のおかげで、アードベッグ号は数々の荒波を乗り越えることができました。ライ・ウイスキーの樽で熟成した「アーーーーーードベッグ」は、彼の功績をたたえて特別に造られた宝物です。
燻製したバナナや洋梨がバニラやライ麦の香りに溶け込み、スパイシーな口当たりが、はじけるような果実味を引き立たせます。アニスやトフィー、微かなサワードウ・ビスケットの酵母の風味が、スモーキーな余韻の中に長く残ります。
ミッキー船長の新しい船出に乾杯!
あと下の写真だと、表ラベルの上側に黒マジックで番号とかが書かれていますが、これは転売防止のものです。今回購入した海外サイトでは、転売されやすい人気銘柄は初めから価格を高く設定(今回の場合は定価+10ポンド)しておくかわりに、『ラベルに名前と発注番号を記入すれば割引クーポンをあげる(今回は20ポンド分のクーポン)』と言うような対策が取られています。要は記入拒否すると定価より高く、記入許可すれば定価より(実質)安く買えます。筆者は売る気もないし、絵画みたいに飾ってじっくり鑑賞するつもりもないので、この割引適用を申請しました。その結果、ラベルの上側に名前と番号(少し修正)が書かれている次第です。面白い対策ですよね。裏ラベルに書けよと少し思いましたが(笑)、ラベルを楽しみつつ飲む分にはこれで十分です。購入者全員が申請したら儲けが無くなる気がしますが、たぶん申請する人が少ないんでしょうね。これ位なら良いと思うんですが、いかがでしょうか?これを申請した人は次回以降優先的に買えるようになるとか抽選が有利になるとかなら、なお嬉しいんですが。
(2)テイスティング
【香り】
湿り気のあるウッドスモークと潮気、ライム、熟していない南国フルーツ、ボンド、バナナの葉で蒸した米(よく東南アジア料理である青臭いバナナの蒸した匂い)、蜜やカスタードの甘さ、味噌、ライ樽由来の香ばしいシリアルや焦がしたクラッカーの香り。加水するとより香ばしいライ麦や大麦のシリアル感が良く出てくる。
【味】
香りはTENと比べるとやや控えめだったが、飲むとスパイシーさと、強烈なヨードとスモーク。シロップやバニラの甘みもTENより強い。キウイ、レモンピール、リコリス、エスプレッソやカカオの粉っぽいビターさ、オーク。後味が香ばしい焦がしたシリアルと塩気、コーヒーやライムの皮のようなビターさが長く続く。加水すると一気に甘さが滑らかになり、レモンやライムのややビターな酸味やハーブ感も増して、サッパリとした口当たりに。余韻のシリアル感は加水してもしっかり感じられる。
【総評】
アードベッグらしいピート感の背後にシリアル感が良く感じられる。甘さはTEN同様のバニラやシロップ感がメインだが、青い果物(青いバナナや葉っぱ、キウイ、ライム)のフルーティさが特徴的。甘さはTENより少し強いが、くどくはなく爽やで香ばしい飲み口。ハイボールやロックでも旨い。コスパを言うと少し高い気もするが、アードベッグだしまあ良いかという範囲。ピート&シェリー(もしくはワインなど)の組み合わせは良く見かけるが、ライとの相性も良い。新しい発見があった楽しい一杯でした。