オクトモア 10.3/Octomore 10.3

(1)特徴

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・オクトモア 10.3/Octomore 10.3

・ブルックラディ蒸溜所

・61.3%、114ppm

・バーボン樽で6年熟成

 

オクトモアは、ブルックラディ蒸溜所の3種類あるコアレンジ商品の一つ(他は、ヘビリーピーテッドのポートシャーロット、ノンピーテッドのクラシックラディ)。毎年発売されており、10シリーズは2019年、最新の11シリーズは2020年に発売されています。詳細は以前に触れたので割愛しますが、使用している大麦の生産地や熟成樽の種類などに応じて幾つか枝番が割り振られています。

今回紹介する10.3は枝番が3で、原材料の大麦は100%アイラ島産(オクトモア農園産)を使用しています。熟成期間は6年で、バーボン樽で熟成されたものです。ピート値は114ppmとオクトモアにしてはやや抑えめな数値ですが、それでもスーパーヘビリーピーテッドであることには変わりありません。

アイラ産大麦による麦芽の風味の違い(これは正直年によって違いますが、スコットランド産大麦を使用している10.1と比べると麦芽感が異なります)、バーボン樽熟成による濃厚な甘さ、そしてもちろん強烈なピートスモークが風味の特徴として挙げられます。

10シリーズについては、以前に10.1と10.4をレビューしていますので、併せて参照ください。10.2は免税店限定なので、今時点では入手できていませんが、これもどこかで試してみたいです。

 

(2)テイスティング

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【香り】

土っぽいピートスモークに少し消毒液っぽいニュアンス、レモンの爽やかな酸味、チェルシー(飴)のコーヒー味、潮風と湿ったオーク、微かに草っぽいハーブ香。

 

【味】

甘い蜂蜜や練乳のような味わいの後に、ややヨードや潮気を含んだウッドスモークが広がる。レモンの酸味、オークのビターさ、塩気。余韻は、ローストしたフルーツと塩気、焦げたオークやハーブが混じり合った温かいピートがかなり長く続く。

 

【総評】

バーボン樽由来の甘さが存分に出ており、ピートスモークも潮気やハーブ感も加わって強烈と言うより重厚印象。余韻も長く、じっくり楽しめる一本。ピート単体の印象はかつてのオクトモアっぽいが、年々味の深みが増していることが良く分かる。

 

10シリーズは10.2以外の3本をテイスティングできたが、個人的に一番の好みは10.4かな。風味も熟成感もピート香も、オクトモアの一つの表現として完成しているんじゃないかと思わせてくれる出来だった。10.1や10.3は今後熟成が進んでいって、更なる高みに到達してくれるんじゃないかという期待感は大きく感じたが、逆に言うと現時点では未熟さがやや目立った(短熟向きの風味と長熟向きの風味があるので、あくまでも現時点での個人的な好みです)。そういうのも含めて楽しませてくれたシリーズでした。