メーカーズマーク/Maker's Mark

(1)特徴

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・メーカーズマーク/Maker's Mark

・メーカーズマーク蒸溜所/ビームサントリー

・45%


メーカーズマークは、ビームサントリー社が保有するケンタッキー州のメーカーズマーク蒸溜所の代表銘柄です。蒸溜所の設立は少しややこしく、サントリーの公式サイトには、1780年に「スコッチ・アイリッシュ系移民の一族のひとり、ロバート・サミュエルズがペンシルベニアよりケンタッキーに移住。農業をしながら自家用ウイスキーづくりをはじめます」とあります。一方で、現在の蒸溜所は1953年にサミュエル家に買収されたバーク蒸溜所(1889年設立)にあるとも言えます。正直どちらでも良いのですが、個人的には後者を採用すべきでないかと思っています(「自家製ウイスキー」を創業とするのは少し無理がある気がします)。

蒸溜所の規模は小さく、かつては、現在日本で多く設立されている”クラフト・ディスティラリー(クラフト・ウイスキー)”の一つとされていました。現在ではクラフトと呼ぶには流石に大きすぎる気がしますが、瓶の口を赤い蜜蝋で封をするなど、クラフトらしさは未だに残っています。

またラベルをよく見ると”Whisky”と表記されています。通常アメリカンウイスキーは”Whiskey”と表記されるのですが、これはサミュエル家がスコッチ・アイリッシュ系の移民だったことによるものです。

原材料には、一般的にバーボンに使用されるライ麦ではなく冬小麦を使用しており、香ばしく滑らかな風味をもたらしています。

(2)テイスティング

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【香り】

甘く滑らかな香り。蜂蜜やキャラメル、バニラ、シュガーシロップと様々な甘ったるい香り、軽くトーストしたオーク、ナッツ、オレンジピール系の柑橘やビワ、ミントのような清涼感もある。少し置くと、小麦系の穀物の香ばしさが良く感じられる。

 

【味】

若干ピリピリした舌触りだが、総じて香り同様とても滑らか。バニラ、煮詰めたブラウンシュガーと樹液、ローストしたオーク、少し粉っぽいビターさ、香ばしい穀物の風味。樽由来のスパイシーさも感じられる。ビターさも含んだオークとスパイスラムのような余韻がとても長く続く。加水するとオレンジ感が良く出てくる。

 

【総評】

芳醇な甘みだけでなく、しっかりとした樽感やビターさも感じられて、落ち着いた味わい。余韻は樽の表面をなめたような少し焦げたオーク感がかなり長く続く。ロックやカクテル向きの骨太の味わい。個人的には、ストレートで飲むならメーカーズマーク46の方が好みだが、甘すぎず重心の低いカクテルベースなら、この通常版の方が好み。