オクトモア 10.4/Octomore 10.4

(1)特徴

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・オクトモア 10.4/Octomore 10.4

・ブルックラディ蒸溜所

・63.5%、88ppm

・ヘビートーストしたフレンチ・リムーザンオーク樽にて3年熟成

 

オクトモアは、ブルックラディ蒸溜所の3種類あるコアレンジ商品の一つ(他は、ヘビリーピーテッドのポートシャーロット、ノンピーテッドのクラシックラディ)。毎年発売されており、10シリーズは2019年、最新の11シリーズは2020年に発売されています。10.1や10.2といった枝番があり、それぞれの特徴は下記の通りです。

 

○.1:スコットランド産大麦を使用、バーボン樽熟成したもの

○.2:ワイン樽熟成原酒をバッティングしたもの、免税店限定(2020年はコロナ禍の影響もありオフィシャルサイトで通販されています)

○.3:アイラ島(オクトモア農園)産大麦を使用

○.4:バージンオーク樽熟成したもの

※上記は5~7年熟成物がほとんどですが、2~3年に一度、10年熟成物が発売されています。最新は2020年に発売されたエディション4です。

 

今回テイスティングする10.4は、2019年に発売された商品で、スコットランド産大麦を使用した原酒を、ヘビートーストしたバージン・リムーザンオーク樽で3年熟成したものです。熟成期間3年は、オクトモアでは再短熟です(これ以上短いとウイスキーと名乗れません)。ピート値は88ppmとかなり抑えめです。リムーザンオークと言えば、ブランデーや白ワインの熟成に使用されることで有名なフレンチオークで、木目が荒いことにより熟成酒の気化速度が速い事と、タンニンが多く出てくることで知られています。

 

(2)テイスティング

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【香り】

焦がした木と牧草、バニラアイスとカスタード、フレッシュな梨や桃、焼いたグレープフルーツ、ミント、若干の潮気、カカオや土っぽいビターな香り。初めはスモーキーさと桃系のフルーツ感が強いが、時間をおくとカスタードっぽさやベリー系のフルーツ感、革製品のようなニュアンスが出てくる。少量加水で、みとスモーキーさが少しシャープになる。

 

【味】

甘いバニラの口当たりと、焦がしたオーク、麦芽シロップ、タバコ、クローブやシナモン、ベリー、革製品。土のようなざらついたビターさが舌にまとわりつく。余韻は温かなスモーキーさと焦がしたウッディさ、タンニン感がとても長く続く。加水すると甘みが際立つが、その後の強烈なスモーキーさは健在で、余韻の焦げたオークと牧草の香りが心地いい。

 

【総評】

オクトモアの○○.4シリーズは初めて飲んだが、オクトモアらしい強烈な焦げたウッドスモーク、シロップやフルーツの強い甘み、タバコや土っぽいニュアンスが、絶妙に調和していてとても旨い。他の銘柄なら、それぞれの要素が強烈過ぎてバランスを崩してしまいそうだが、これがまとまるところが凄い。これまで飲んだオクトモアの中では一番好み。ピート値が88ppmと聞いて余り期待していなかったが、完全に裏切られた。オクトモアシリーズは、当初はピート値を高めることを目指していたが、次第に風味とのバランスを考慮したピート値に舵を切ったと聞くが、それを考えるとこれがオクトモアの一つの解答でないかと思えてくる(唯一の正解ではないし、300ppmを超えるようなぶっ飛んだ製品もまた期待したいが)。いずれにせよ素晴らしい出来。