(1)特徴
・ボウモア 12年 & 15年/Bowmore 12yo & 15yo
・ともに43%
・12年はバーボン樽熟成
・15年は初めの12年をバーボン樽で熟成、そののちオロロソシェリー樽で3年熟成
ボウモア縦飲み第1回。今回は12年と年のテイスティングレビューを行います。
ボウモアはスコットランド西部のアイラ島にある蒸溜所で作られているモルトウイスキーです。ピート香が強く、スモーキーでヨード臭い銘柄が多いアイラ島において、比較的上品なピート香と甘い風味を持っていることから『アイラモルトの女王』と呼ばれています。またイギリスのエリザベス女王がかつて訪問した蒸溜所としても知られています(息子でやや癖のあるチャールズ皇太子が大のラフロイグ好きというのが、また面白いところです)。1994年からサントリーがオーナーとして保有しており、日本でもメジャーなシングルモルト銘柄の一つとして知られています。
特徴は先に述べたとおり、アイラウイスキーの中では比較的穏やかなピートと、蜂蜜やバニラの甘さが挙げられます。コアレンジ品としては年数表記のある12年、15年、18年、25年、ノンエイジ品のNo.1などがあります。今回は年数表記のある12年、15年、18年、25年の4つを比較テイスティングしたので、2回に分けてレビューします。
(2)テイスティング
①ボウモア 12年
【香り】
ヨード感を含んだ柔らかいピートスモーク、シュークリーム、バニラ、グレープフルーツ、イチジクやプラム、焼いたパイナップルっぽいフルーティさも感じられる。加水すると、バニラ感がやや少なくなった反面、ヨード感とフルーティさがより際立つようになる。
【味】
バニラや麦芽シロップの甘さ、グレープフルーツのややビターでフルーティな酸味、ピートスモーク、潮気、干し草、粉っぽいカカオのビターな余韻。加水すると、蜂蜜の甘さと麦芽感が良く感じられ、ビターさは少なくなった印象。
②ボウモア 15年
【香り】
12年物で感じたバニラやカスタード感の上に、アメリカンチェリーやベリー、イチジクのようなフルーティさが覆いかぶさってくる。焦がした木のようなスモーキーさと磯臭いヨード感はあるがぐっと穏やか、浜辺でのBBQ終盤のようなまったりした雰囲気。柑橘感もあるが、グレープフルーツというより金柑のシロップ煮のような甘い柑橘感。
【味】
丸い口当たり、樽由来の焦がしたウッディさ、煮詰めたメープルシロップ、ブドウの皮目のようなフルーティさとビターさ、シナモンやハーブ、レモンピール、麦芽。トロピカルフルーツのようなボンドっぽい癖のある甘さも若干ある。ウッドスモークと若干の塩気はあるものの、かなり控えめ。余韻はダークチョコレートのようなビターさのある甘み。10年と同じく、加水するとビターさがやや和らぎ、フルーティさと甘さが際立つのでオススメ。
③総評
アイラモルトとしてはとても上品なピート香と、バニラ&フルーツの甘みのバランスが良い。バニラの甘み中心の12年、熟成感とシェリー樽の赤いフルーツ感が前面に出てくる15年、とそれぞれ違った側面がみられるラインナップで飲み比べていて楽しい。アイラ初心者はどちらかというと15年の方が入りやすいと思うが、シェリーが苦手なら12年も充分円やかで入りやすい口当たりだと思う。