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オクトモア 10.1/Octomore 10.1

(1)特徴

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・オクトモア 10.1/Octomore 10.1

・ブルックラディ蒸溜所

・59.8%、107ppm

・バーボン樽にて5年熟成

 

オクトモアは、ブルックラディ蒸溜所の3種類あるコアレンジ商品の一つ(他は、ヘビリーピーテッドのポートシャーロット、ノンピーテッドのクラシックラディ)。毎年発売されており、10シリーズは2019年、最新の11シリーズは2020年に発売されています。10.1とか10.2とかの枝番があり、それぞれの特徴は下記の通りです。

 

○.1:スコットランド産大麦を使用、バーボン樽熟成したもの

○.2:ワイン樽熟成原酒をバッティングしたもの、免税店限定(2020年はコロナ禍の影響もありオフィシャルサイトで通販されています)

○.3:アイラ島(オクトモア農園)産大麦を使用

○.4:バージンオーク樽熟成したもの

※上記は5~7年熟成物がほとんどですが、2~3年に一度、10年熟成物が発売されています。最新は2020年に発売されたエディション4です。

 

誕生のきっかけは、2002年にピート処理された麦芽生産業者にフェノール値40ppmのピート麦芽をどうやって作っているか聞いたところ「80ppmのピーテッド麦芽と0ppmのノンピーテッド麦芽を50:50で混ぜている」という回答があったことです。当時は、どんなに高くても50ppmくらいのピーテッド麦芽しか使用されていなかったので、80ppmを作っておけば、後は配合を変えれば各蒸溜所の要望に対応できたんですね。しかしブルックラディ蒸溜所は「じゃあ80ppmの麦芽をそのまま使えば、どういうウイスキーになるのか試してみよう」という発想に至ります。当時は、フェノール値が高すぎるとウイスキーの風味が損なわれて不味くなると信じられていたので、かなりの反対があったようです。しかし実際に作って、2008 年に6年熟成物として発売したところ、話題性に加えて、思いのほか美味しかったことで評価が変わります。最近ではほかの蒸溜所からも50ppmを超えるようなスーパーヘビリーピーテッドのウイスキーが発売されるようになりましたが、そのきっかけとなった商品がオクトモアと言えます。スモーキーさを追求し始めるとどこまでも行く(消費者が更にスモーキーなものを求め出す)点は、日本であった辛い物ブームに通じる物がありますね。

 

ちなみにオクトモア自身は、当初はフェノール値を上げることに拘っていたように感じ、生産開始当時80.5ppmだったフェノール値は2017年発売の08.3(2012年蒸溜)では309ppmまで上昇します。しかし近年はスモーキーさと風味のバランスを取ることを重視している感があり、100~200ppm位に収まっている(収まっていないけど・・・)印象を受けます。

 

今回テイスティングする10.1は、2019年に発売された商品で、スコットランド産大麦を使用してバーボン樽にて5年間熟成した原酒を使用しています。フェノール値は107ppmと他のエディションと比較するとやや低めです。筆者はオクトモアを飲むのは06.3以来なので、数年たって味がどう変化したのか、楽しみながらテイスティングしました(ちなみに06.3はフェノール値が258ppmあり、ハーブやスパイシーさ、リンゴ系のフルーティさと麦芽感もあったものの、なにより強烈なスモークとヨードが印象的な一本でした)。

 

(2)テイスティング

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【香り】

革製品と木を燃やしたような燻製香、塩気、レモンやオレンジの柑橘、バニラやカスタードの甘み。加水して時間をおくと、スモーキーさに慣れたせいか、柑橘感やバニラ感が前面に出てきて良く感じられるようになる。

 

【味】

始めは甘いバニラの口当たり、そこからビターさと共に、ピートスモークが爆発する。フローラルな甘みと柑橘の酸味、カスタードの甘さ、麦芽シロップ、ポートシャーロットではほとんど感じなかったヨード感も感じることができる。

 

【総評】

オクトモアらしい強烈なスモーキーさは勿論あるもののやや大人しめで、樽由来のバニラの甘みや柑橘系のフルーティさ、麦芽感が味わえるシンプルで素直な一本。以前テイスティングした06.3と(記憶の中で)比較すると、ピート感は大人しめに、味もシンプルでバランスよくなった印象。スモーキーすぎるウイスキーが苦手な人でも、意外と楽しめるかも?ブルックラディが毎年色々な挑戦をし続けている(同じものを繰り返し作っているわけではない)ことを強く印象付けてくれました。