(1)特徴
・山崎 12年/Yamazaki 12yo, 山崎18年/Yamazaki 18yo
・山崎蒸溜所/サントリー
・ともに43%
・シェリー樽、ホワイトオーク樽、ミズナラ樽(18年はシェリー・ミズナラ樽で熟成した原酒をバッティングしたのち、シェリー樽で後熟)
山崎については特に説明は不要な気もしますが、簡単に紹介したいと思います。
山崎蒸溜所は1923年、サントリーによって設立されました。当時のサントリー社長、鳥井信治郎氏が、かつて摂津酒造にいた際にスコットランド留学してウイスキー醸造の技術を学んだ経験のある竹鶴政孝氏を招へいして、ウイスキー製造を開始したことが始まりです。ジャパニーズウイスキーの誕生の瞬間ですね。
山崎シングルモルトは、2000年以降様々な世界的コンペで金賞等を獲得し続けております。かつては評価の低かったジャパニーズウイスキーの地位向上に貢献し、今日の地位を築いた立役者ともいえる存在です。ラインナップの中で入手可能なものとしては、熟成年数表記のないノンエイジ(NA)・12年・18年の3つです。そのほかに25年や限定品もありますが入手は困難なので、18年以上はバーなどで探す方が(金銭的にも時間的にも)現実的です。オークションなどでは入手できますが、ただでさえ値段設定が高いものが更に数倍の値段になっているのを見ると、正直そこまでの価値があるとは思えません。
風味の特徴としては、甘めの口当たりとバランスの良さ、ミズナラ樽由来の独特な木の香りが挙げられます。特にミズナラ樽由来の風味(白檀とか伽羅の香りとか言われることが多いです)は、12年以上熟成した商品のみに使用されているので、山崎が好きな人はNAだけでなく、是非12年以上も試して頂きたいです。
今回のテイスティングでは、山崎12年と18年のサンプルボトルを購入できたので、比較テイスティングをしました。ここ最近はジャパニーズウイスキーから避難していたので、久々で楽しめました。
※後日に白州も12年と18年で比較テイスティングしましたので、興味のある方はこちらも併せてどうぞ
(2)テイスティング
①山崎12年(上の写真では左側)
【香り】
バニラ、洋梨とりんごのタルト、生クリーム、シナモンやナツメグ、オレンジ、ミント、レーズン。加水するとカスタードクリームと、爽やかな乾いた木の香りが強くなる。
【味】
麦芽とハーブ。樽由来のオーク、オレンジピール、スパイス、ミント。加水すると、
塩気とバターのようなクリーミーさ。
②山崎18年(上の写真では右側)
【香り】
樽由来のオーク、メープルシロップやマーマレード、バニラの甘み、レーズンやドライフルーツ、キャラメル、ミント。加水すると、バターとメープルシロップのかかったホットケーキ、12年でも感じた乾いた木の香り。
【味】
麦芽、オーク、シナモン、干しぶどう、花の蜜、スパイス、ミント系のハーブ。加水するとシロップのような甘みが引き立ち、そのほかにも麦芽やハーブ、オークの風味が長く続く。
③総評
癖のないバランスの良さが楽しめる。12年はほのかな甘みとスパイシーさ、18年は濃厚な甘みと樽感が特徴的。共にミントのようなハーブ感や、乾いた木のような香り(仏壇やらタンスやらの匂い)があり、スコッチウイスキーには無い独特なオリエンタルさを感じさせてくれる。この唯一無二の風味が人気なんでしょうね。定価で手に入るなら、スコッチやバーボンとは別枠で常備しておきたい一本ですね(高いけど)。どちらが良いかは難しいですが、ハイボールやロックが好きならスパイシーさが映える12年、ストレートでじっくり甘い熟成感を楽しみたいなら18年でしょうか。