マッカラン クラシックカット 2020/The Macallan Classic Cut 2020 Edition

(1)特徴

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マッカラン クラシックカット 2020/The Macallan Classic Cut 2020 Edition・

マッカラン蒸留所/サントリー

・55%

・オロロソシェリー樽、バーボン樽

 

マッカランが2017年からリリースしており、毎年異なるブレンダーがプロデュースしている限定ウイスキーです。今回はその第4弾、クラシックカットの2020年版のレビューです。

クラシックカットでは、2017~2019年の過去3年はスペイン・へレス産のオロロソシェリ―樽の原酒が100%使用されていましたが、2020年版ではシェリー樽に加えてバーボン樽熟成の原酒も使用されており、大きなリニューアルがされたという印象です。風味の特徴としてはこれまでのリリースと同じく、カスクストレングス、ノンチルフィルターという特徴を生かした、マッカラン原酒の持つ力強い風味が味わえる点が挙げられます。

 

(2)テイスティング

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【香り】

フレッシュなシェリーや黄桃の香り、干しブドウやオレンジピールの入ったフルーツケーキ、アップルカスタードやバニラ、ミント系の清涼感のあるハーブ、微かな樽由来のオーク香。アルコール感は多少あるものの、シェリーとバニラにミント感が加わった爽やかな甘みのおかげで不快感は無し。加水すると、バニラ系の柔らかい甘みが増し、背後にシェリー系の甘みがある印象。ベリーやチェリー系を焼いたパイのような香り。

 

【味】

濃厚なブドウやオレンジのフルーティさと、バニラや蜂蜜シロップのようなねっとりとして甘み、樽由来のオーク香と麦芽味が、アルコール度数が高いこともあり一気に広がる。上品でバランスが良いものの、それぞれの力強さも存分に感じられる。余韻は、ややビターなオーク感、ハーブ、麦芽の甘みなどで、中程度の長さでキレ味よし。加水すると、徐々に柑橘感が出てくる。

 

【総評】

力強さと上品さ、シェリー樽とバーボン樽由来の風味が、バランスよく、しかもそれぞれの要素がはっきり主張してくる一本。いつまでも飲めるような飽きが来ない美しいバランス。バーというよりレストランで味わいたい風味。往年の濃厚シェリーのマッカランというより、近年コアレンジに加わっているトリプルオーク系が洗練されて進化したような風味。シェリーどっぶり系はグレンドロナックとかグレンファークラスに任せて、マッカランはこういう方向でも良いんじゃないかとも個人的には思う。美しく、上品。