(1)特徴
・アードベッグ蒸留所
・46.6%
・ファーストフィルバーボン樽、ペドロヒメネスシェリー樽、アメリカンオーク新樽
アードベッグ アン・オーは、アードベッグ蒸留所が2017年から発売しているコアレンジの一つ。アン・オーは、アイラ島のアードベッグ蒸留所近くにあるオー岬にちなんでつけられています。
特徴は何と言ってもその樽使いにあります。TENではバーボン樽熟成の原酒のみが使用されているのに対して、アン・オーでは3種類の樽が使用されています。それはバーボン樽に加えて、甘口なシェリー酒であるペドロヒメネスシェリー樽、スパイシーで焦げたような風味を与えるチャーした新樽(アメリカンオークと言われています)です。これらの原酒をバッティングしたのち、フレンチオーク製のバッティング樽でなじませることで、調和のとれた味わいを生み出しています。風味は、それぞれの樽に由来する甘みやスパイシーさが強く感じられ、アードベッグらしいスモーキーさや磯臭さはややマイルドになっています。そのためアードベッグ入門としてもオススメできる一本です。
(2)テイスティング
【香り】
木を燃やしたスモーキーさや磯感はあるものの、TENよりは穏やか。柑橘、カスタードクリーム、フルーツケーキ、灰っぽさの混じった藁、コーヒー豆。加水すると焦がしたオーク感と共に、練乳のようなクリーミーさが増す。
【味】
これもTENに比べると穏やかで柔らかいピート感。板チョコ、フルーツポンチのシロップや干しマンゴー系のドライフルーツの甘み、焦げた木材、胡椒、カフェモカ、灰。少量加水した方が、個人的には甘みとフルーティさ、ピート感のバランスが良くて好み。
【総評】
アードベッグTENで感じるバーボン樽由来の甘みがかなり強く前面に出ていて、そこにペドロヒメネスシェリーカスク由来のフルーティさと、新樽由来のスパイシーさが加わる。風味が穏やかかつ多層的に広がったようなアードベッグで、ラフロイグセレクトと似た傾向のバランスを感じる。