(1)特徴
・グレンギリー 12年/Glen Garioch 12yo
・グレンギリー蒸留所
・48%
・700mL、約6000円
「谷間の荒れ地」を意味するグレンギリーはハイランドに位置する蒸留所で、操業は1797年とハイランド地方では最も長い歴史があります。ただ順風満帆だった訳ではなく、1968年には慢性的な水不足で閉鎖→1972年に違う水源(サイレントスプリング;出所が良く分からない水とのことから)が発見されたことで再開→1994年にサントリーが買収→1995年に一度閉鎖→1997年に再オープンと、現在に至るまで紆余曲折を経ている蒸留所です。今回テイスティングするのは、グレンギリーのコアレンジであるグレンギリー 12年です。風味の特徴としては、ライランドらしいバランスの良さ、シェリー・バーボン樽由来の風味、ノンピートで軽く華やかな口当たり(サントリー買収前はピートを使用していたため、1994年前後のビンテージによって異なります)が挙げられます。
ちなみにグレンギリーと言えば、発音の分かりにくさでも有名です。普通に発音すると「グレンガリオック」になるのですが、ゲール語では「グレンギリー」「グレンギーリー」と発音されます。Gariをギーリーと発音するのはともかく、最後のochはどこに行ったのでしょうかね・・・。なお本サイトでは日本での一般的な読み方に準拠するため、グレンギリーと記載しています。
ついでの与太話ですが、グレンギリーの他にも発音のしにくい蒸留所(もしくはボトラーズ)は幾つかあり、ネイティブでも発音が困難な蒸留所・ボトラーズのトップ10として、以下が紹介されていました。正解はこのページの最後に記載します。
・Glen Gariock
・Bunnahabhain
・Wemyss malts
・Bruichladdich
・Ledaig
・Caol Ila
・Kilchoman
・Dailuaine
・Auchroisk
(2)テイスティング
【香り】
シェリーの上品な香り、梨や青りんご、ヘザーハニーと上品なピート香、モカコーヒー、クリームブリュレのような焦がした砂糖とカスタードの甘み。少し味噌っぽい香りもする。
【味】
味わいは、香りと逆にバーボン樽由来のクリームブリュレ的な甘みが先に来て、その後に洋梨のシロップ漬けの甘みやオレンジのようなややビターで酸味のある甘みが来る。草っぽいビターさとオークのスパイシーさ、麦芽の余韻。加水するとスパイシーなオーク感が強くなり、やや甘みが薄れるのでストレートの方がオススメ。
【総評】
12年熟成にしては香りの華やかさとしっかりした風味のバランスが非常に良く、コスパがかなり良い一本(値段はそこまで安くないけど)。いかにもハイランドと言ったようなヘザー感があり、ハイランドパークと系統が近いが、バーボン樽由来の風味も濃厚で、シェリー樽由来の上品さと合わせて樽使いの上手さを感じさせる。食後や就寝前の一杯に最適。味とは関係ないですが、ミニチュアボトルがいかにもスコットランドっぽくて(フルボトルのデザインと同様ですがより可愛らしい)、名前が読みにくいのと相まって、スコットランド土産としてもオススメです。
(3)ウイスキー難読蒸留所名 解答
(1)で触れた、英語サイトで紹介されていたネイティブでも発音の難しい蒸留所・ボトラーズ名のトップ10です。皆さんは幾つ分かりましたか?
・Glen Gariock:グレンギーリー[Glen Geery]
・Bunnahabhain:ブーナハーヴァン[Boona-hav-an]
・Wemyss malts:ウィームズモルト[Weems Malts]
・Bruichladdich:ブルックラディ[Brook-laddie]
・Ledaig:レッドチッグ、ルーチェイグ[Led-chig Luh-chaig]
・Caol Ila:カリラ[Cull Eela]
・Kilchoman:キルホーマン[Kill-ho-man]
・Dailuaine:ダルユーアン[Dall yoo-an]
・Auchroisk:オースラスク[Othrusk]
全部読めたらかなりのウイスキー好きと言えます。グレンギリー(グレンギーリー)とかレッドチッグ(ルーチェイグ)、オースラスクあたりは、何をどう読めばこうなるのか理解不能で、筆者はこれらを「難読3兄弟」と呼んでいます。アイラ島の蒸留所は慣れたら気にならなくなりましたが、確かにBruichladdichの最後のchやCaol Ilaのo、Lapharoaigの3番目のaははどこに行ったのか、なぜキル’コ’ーマンじゃないのか等々、普通に考えれば意味不明です。chをhと発音するのは、他にもGlenAllachie(グレンアラヒー)がありますね。
ちなみに発音のコツは簡単です。それは「アルファベットを見ない」ことです。見るから本能的に混乱するのであって、見なければ何とかなる(暴論)