ポートシャーロット MRC:01 2010/Port Charlotte MRC:01 2010

 (1)特徴

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ポートシャーロットは、アイラ島に位置するブルックラディ蒸留所の製品。ブルックラディ蒸留所では、ピートの強さによって3つのブランドがあり、ノンピートタイプのブルックラディ(クラシックラディ)、ヘビリーピーテッドのポートシャーロット、そしてスーパー・ヘビリーピーテッドのオクトモアがあります。ピートと言ってもスコットランド本土のピートを使用していることから、他のアイラウイスキー(典型的なものはラフロイグ)とは少し違い、磯臭さは弱く、むしろ焚火のような煙臭さが特徴的。

 

ブルックラディ蒸留所といえば、テロワール(ワイン、コーヒー、茶などの品種における、生育地の地理、地勢、気候による特徴を指すフランス語)の概念をウイスキーにも反映させようとしている蒸留所としても有名で、麦芽やピートなどもスコットランド産・アイラ島産に拘って製造しています。また多様な樽で熟成させた実験的な製品でも有名で、今回紹介するポートシャーロット MRC:01 2010は、フランスの最高級ワインの一つであるムートン・ロートシルト(Mouton Rothschild)を熟成させた樽を使用して後熟をかけています。

 

・ファーストフィルのアメリカンウイスキー樽 50%、セカンドフィルのフレンチワイン樽 50%(7-8年熟成)

・ヴァッティング後、ムートン・ロートシルト樽にて1年後熟

 

(2)テイスティング

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【商品スペック】

・ポートシャーロット MRC:01 2010/Port Charlotte MRC:01 2010

・ブルックラディ蒸留所

・52.9%

・700mL、12000円前後

 

【香り】

木を燃やした煙臭いピート香、甘くジューシーなドライフルーツ(ブドウやデーツ)、プラム、バニラ、練乳、クローブやシナモンといったハーブ感、使い込んだ革製品、麦芽や樽感も強い。とにかく甘臭い。加水すると煙感は強いまま、ホットワインぽさも前面に出てくる。

 

【味】

オイリーで甘みも濃厚。砂糖菓子のような甘さ、オレンジピールの酸味と苦み、余韻にエスプレッソ感。麦芽や樽味、潮味、ハーブ感。甘くねっとりした味わいと焚火の煙が長く残る。加水しても煙感は強く、甘みも充分残り、奥から蜜柑のような甘酸っぱさも味わえる。

 

【総評】

焚火を囲んで、シナモンやクローブを加えたホットワインを飲んでいるような温かい感覚。個人的にはスタンダードボトルのポートシャーロット10年より好み。複雑なピートとフルーティーさにもかかわらず、爽やかさもある。余韻も長く美しい。カスクストレングスならではのアルコール感、口に含んだ瞬間に香りが広がる蒸発感が楽しめる。やや値段は高いことが難点だが、熟成年数の短さを感じさせない複雑な味わいとコクがある。ポートシャーロット好きなら買って後悔の無い一本と思う。