1. 特徴
【商品情報】
・キルケラン8年カスクストレングス(シェリー) / Kilkerran 8 year Cask Strength (Sherry)
・57.1%
・6500円前後
キルケラン8年シェリー樽熟成カスクストレングスは、グレンガイル蒸留所の作る8年熟成ボトル。2019年にシェリー樽熟成物とバーボン樽熟成物の8年熟成カスクストレングスを発売し、品質の高さとコスパの良さから世界中で話題になったボトルです。
2. テイスティング
【香り】
強いシェリー香(ブラインドするとオロロソシェリー酒と間違うんじゃないかというくらいのレベル)、柔らかくスモーキーでオイリー、潮気、ブドウ。加水しても上品なシェリーとオイリーさ、クリーミーさは弱まらず、奥に若干の柑橘感。
【味】
オイリーでシェリー由来の濃厚なブドウ、瑞々しいアメリカンチェリー、潮気、微かな柑橘、カカオ、コーヒー、土っぽいピート(アイラとは違いヨード感は無し)、樽感・麦芽感もはっきり。アルコール度数も相まって、下に乗せた瞬間にブワっと一気に香りが膨らむ。加水後はシェリー感はより上品になるが輪郭ははっきり、麦芽感と塩味と樽感が素晴らしく調和。フィニッシュもシェリー感が上品に続く。
【総評】
濃厚なシェリーで、かつ値段も手頃。この値段で定番商品として継続できれば、シェリー樽熟成物のエースとなれるが、おそらくグレンガイル蒸留所にそこまでのキャパシティは無さそう(下記のリンクでも触れたが、元々キャンベルタウンの名称維持のためにスプリングバンク蒸留所が造った蒸留所。そのため人員や原料もスプリングバンクと共用しており、大量生産は厳しい状況。逆に言えば、その分派手な宣伝を排してじっくり腰を据えた製品づくりができるため、質が高くコスパの良い製品が期待できる)。
キルケランは12年のスタンダードボトルも品質が高く、癖が無いものの多様な風味が味わえる。しかし特に8年や15年のカスクストレングス物はその品質の高さが顕著に表れる物が多く、買って後悔することがない。有名になってほしいような、有名にならず入手しやすい状態であってほしいような、複雑な気持ち。今回のボトルでコアでないウイスキーファンにも一躍名前が浸透したので、グレンガイル蒸留所としては一つの記念碑的なボトルになるのではと思う。