スペイサイドとグレンリベットFR/Glenlivet Founder’s Reserve

 1. グレンリベットの特徴

(1) スペイサイドについて

まず始めに、グレンリベットの位置するスペイサイド地域について説明します。

スペイサイドはスコットランドの北東部、スペイ川やその支流流域の地方をさす。人里離れた場所だったことから、古くからウイスキー製造が盛んだった。現在でも50前後の蒸留所が稼働しており、スコッチウイスキーのメッカとも言える。

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Scotland Map

下はWikipediaのスペイサイドの蒸留所リスト。全部で49ある。グレンリベット、グレンフィディックマッカランアベラワーなどの豪華なメンツが並ぶ。

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List of Speyside

(2) スペイサイド産のウイスキーの特徴

グレンリベットを源流とするスペイサイド産ウイスキーの特徴として、口当たりが柔らかで、フルーティさ(洋ナシやリンゴのような爽やかな香り)やフローラルさ(花の蜜のような風味)、またシェリー樽由来の豊かなブドウの香りが特徴として挙げられます。

(3) グレンリベットの特徴

 「すべてのシングルモルトはここから始まった」という謳い文句で有名なグレンリベット。19世紀当時、密造酒製造が盛んだったスペイサイドの中でとりわけ有名だった「ジョージ・スミスのウイスキー」を、当時の英国王ジョージ4世がスコットランド地方訪問の際に飲む事を所望し、その後ジョージ・スミスの蒸溜所(=グレンリベット)が1824年に政府公認蒸留所の第1号となったことに由来します。その質の高さから他の蒸留所はこぞって製法を真似、また知名度にあやかろうと「グレンリベット・○○(例:グレンリベット・マッカラン)」と名乗ったりしたほど。裁判の結果、英語の定冠詞(特定の名詞の頭につく冠詞)のTheを付けてザ・グレンリベットと名乗ることができる唯一のウイスキーとなっています。

2. グレンリベットFRの特徴

 グレンリベット ファウンダーズリザーブは、200年前の創業時のレシピを再現するために作られた商品。年数に拘らずに、アメリカンオーク樽のファーストフィル(新樽)で熟成された原酒をバッティングしています。年数表記の入ったラインナップと比較すると安価に購入できるにもかかわらず、グレンリベットひいてはスペイサイドの特徴を上手く反映した一本と言えます。

3. グレンリベットFRのテイスティング

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【商品情報】

・ザ・グレンリベット ファウンダーズリザーブ/ The Glenlivet Founder's Reserve

・40%

・3000円前後

 

【香り】

 洋梨、グレープフルーツ、りんご、つつじの花の蜜

 

【味】

ボディは軽快。柑橘の皮近くの苦みを伴った爽やかな酸味、スパイシーさ。アルコール感。加水するとなめらかな口当たりで、円みを増した柑橘系のフルーティーさに包み込まれる。

 

【フィニッシュ】

柑橘の皮のような酸味を帯びた苦みが続く。サッパリしていて爽やか。 

 

【総評】

とにかく癖が少なく、フルーティーさやフローラルさが楽しめる、初心者でも楽しみやすい一本。値段も安いので、ストレート(トゥワイスアップくらいの加水もGood)からロック、ハイボールまで楽しめる。12年に比べてアルコール感が若干あるが香りは立つので、どちらかと言うとロックやハイボールがオススメ。個人的に大好きな18年と比べると見劣りしますが、それでも特徴をつかむにはもってこいの1本だと思います。